ダメージ測定

 『タクティクスオウガ 運命の輪』はリメイクされるにあたって数多くのスキルが導入され、戦闘では装備品の性能、あるいは地形効果だけでなく、ユニット各々にセットされたスキルの組み合わせによっても、武器や魔法によるダメージが増加するようになった。

 ゲーム中には「Strengthen(物理攻撃力UP)」や「Augment(属性補正)」など様々なスキルが用意されているが、それらスキルがどのように戦闘においてダメージに影響しているのかというのは一見分かりづらい。「Strengthen Ⅳ」をセットしてステータス画面での数値上は攻撃力が大幅にアップしたように見えても、いざ攻撃してみたら意外とダメージが出ない…なんてこともあると思う。そこで北米版における各スキルが、ダメージにどれだけ影響を及ぼすものなのか、検証してみることにした。

※あくまで北米版での検証なので日本版とは違う可能性があります。またアイテムやスキルの名称は北米版をプレイしたことがない人でも分かりやすいように日本版に合わせた上で記述していきます。

検証前の準備、ロケーションなど

 まず今回の検証には、テンプルナイトとしてのみで育てたLV45のオズマと、様々なクラスを転々としながら最終的にローグ…つまりは盗賊というならず者と化したLV46のデニムを使う。オズマには氷属性10のラプチャーローズを装備させるのみで、他に装備はない。デニムは完全に丸腰の状態にする。そして2人ともスキルは一切セットしていないのが、上の画像だ。デニムは職を転々としてきただけあってベースパラメータはオズマに比べて全体的に高い。

 検証をおこなう場所については、光竜の月(乾季)の晴れの日、フランパ大森林の「誘いの裂目」でおこなう。2人とも草地の上に立ち、オズマがデニムを正面から攻撃するという形でダメージを見る。なお、マップ上の属性効果はない。

 このときオズマがデニムに与えられる予想ダメージは命中率25%のダメージ150。スキルを何もセットしていない状態でのダメージがこれだ。これを基本のダメージ値とし、ここにスキルを組み合わせることでどのようにダメージ値が増加していくのか、見ていくことにする。

1.武器学スキルと物理攻撃力UPの関係

 まずはオズマに鞭の武器学スキル(ランク8)と、物理攻撃力UP Ⅰ〜Ⅳ(物攻と略す)をセットして、ダメージがどのように増加するのかを見てみた。

セットしたスキル / 画面上の攻撃力 予想ダメージ / 命中率
スキルなし / 攻465 150 / 25%
鞭8 / 攻503 150 / 97%
鞭8、物攻Ⅰ / 攻577 150 / 97%
鞭8、物攻Ⅱ / 攻651 150 / 97%
鞭8、物攻Ⅲ / 攻725 150 / 97%
鞭8、物攻Ⅳ / 攻799 150 / 97%
物攻Ⅳ / 攻729 ※1 150 / 25%

 …いきなり意味が分からねぇ。確かに攻撃力は物理攻撃力UPのスキルによって数値上は増えているはずなのに、実際攻撃してみると何の効果も出ていない。武器学スキルについてはランクが8ということもあってか命中率が大幅に上昇する効果をもたらしているが、ダメージについては変化なし。

 念のため最後に物理攻撃力UP Ⅳのみをセットして確認してみたが(※1)、やはりダメージには変化がない。物理攻撃力UPは飾りなのか…?

 次に、オズマにランクが5まで上がった氷属性補正(氷補と略す)をセットして調べることにした。なぜ氷属性なのかというと、前述したようにラプチャーローズの持つ属性が氷だからだ。属性を高めた場合どれだけダメージが増えるのだろうか。

セットしたスキル / 画面上の攻撃力 予想ダメージ / 命中率
スキルなし / 攻465 150 / 25%
氷補5 / 攻489 150 / 25%
鞭8、氷補5 / 攻526 164 / 97%
鞭8、氷補5、物攻Ⅰ / 攻605 167 / 97%
鞭8、氷補5、物攻Ⅱ / 攻684 170 / 97%
鞭8、氷補5、物攻Ⅲ / 攻763 172 / 97%
鞭8、氷補5、物攻Ⅳ / 攻842 175 / 97%
鞭8、氷補5、物攻Ⅳ、人1 / 攻842 ※2 186 / 97%

 氷属性補正のみをセットしても、ダメージに影響は出ない。しかしそこに武器学スキルが組み合わさることによりダメージが増え、さらに物理攻撃力UPのスキルを付け足すことでダメージがわずかだが増える。最後に人体学(人と略す)のランク1を付け足した上でダメージを調べてみたが(※2)、ステータス画面上の攻撃力には変化は見られないものの、たとえランク1であってもダメージにそこそこ影響することが分かった。

 これらの結果を見て分かるのは、属性補正や種族学のスキルは意外とバカにできない影響力を持つ、ということ。ではそうなると物理攻撃力UPとは何だったのか…という話になるが、もしかしたら属性を持つ武器か否かによって、物理攻撃力UPスキルの扱いが違うのかもしれない。属性武器の場合は属性補正が優先的に影響しているのかも(のちに属性なしの武器で調べてみたが、武器学スキル+物理攻撃力UPの組み合わせでは、属性がない武器でのダメージにも変化はなかった)。

2.さらに属性を高めてみる

 属性を高めればダメージが上がるということを確認したところで、さらに装備品によって属性を高めて、そのダメージの増加具合を調べてみることにする。オズマにはヴィクラントメイル(氷属性補正+1、鎧と略す)と氷結の首飾り(氷属性補正+1、首と略す)を装備させて、自身の氷属性ランクを7まで上げる。その上で氷属性のラプチャーローズのダメージがどうなるのかを調べる。ちなみに氷結の首飾りを装備すると、オズマの攻撃力はステータス画面上では100以上も増えてしまう。これがはたしてどのような結果を出すのだろうか。

スキルと装備 / 画面上の攻撃力 予想ダメージ / 命中率
スキルなし、防具なし / 攻465 150 / 25%
スキルなし、首 / 攻582 161 / 25%
氷補5(+2)、鎧、首 / 攻627 161 / 25%
鞭8、鎧、首 / 攻634 161 / 99%
鞭8、人1、鎧、首 / 攻634 161 / 99%
物攻Ⅳ、鎧、首 / 攻827 161 / 25%
鞭8、物攻Ⅳ、鎧、首 / 攻907 ※3 161 / 99%
鞭8、氷補5(+2)、鎧、首 / 攻678 ※4 196 / 99%
物攻Ⅳ、氷補5(+2)、鎧、首 / 攻897 ※5 161 / 25%
物攻Ⅳ、氷補5(+2)、人1、鎧、首 / 攻897 ※6 161 / 25%
鞭8、物攻Ⅳ、氷補5(+2)、鎧、首 / 攻977 213 / 99%
鞭8、物攻Ⅳ、氷補5(+2)、人1、鎧、首 / 攻977 225 / 99%

 注目すべきは※3※4だろう。※3は物理攻撃力UP Ⅳの効果でステータス画面上に見る攻撃力の数値は907と、※4に比べて攻撃力が229も高い。しかし実際に攻撃してみると、与えるダメージは※4の方が高く、ステータス画面上に見る攻撃力の数値が(属性武器を装備している場合においては)あまり参考にならないことが分かる。また※5※6を見るに、武器学スキルがセットされていないと、仮に属性補正を高めたとしても大きな効果は望めないようだ。

 以上の検証から分かったことをまとめると、以下のようになると思う。

 と、こんな感じだろうか。属性武器を装備している場合は、対応する属性補正スキルを同時にセットしておかないと物理攻撃力UPのスキルに意味がないのには驚いた。これを踏まえてスキルと装備で属性補正と攻撃力をどちらも高めた結果、上の画像のようにオズマの攻撃は最終的に225ダメージまで高めることができた。「属性武器を装備した最強ユニットを作りたい!」という場合は、最終目標となる属性武器の属性補正を序盤からコツコツと高めつつ、できれば種族学のスキルも同時に高めていくといいのではないかと思う。

3.防御面の検証

 属性スキルによるダメージの検証をおこなってみたついでに、防御スキルについても一応検証しておこうと思う。この検証は先ほどの丸腰のデニムに225ダメージを与えるオズマを使い、かつデニムに物理防御力UPのスキルや属性ダメージ軽減のスキル、さらに防具を装備することでどれぐらいダメージが下がるのかを見ていくことにする。まずは物理防御力UP(物防と略す)のスキルをセットした状態でのみのダメージの下がり具合から。

スキルと装備 / 画面上の防御力 予想ダメージ / 命中率
スキルなし、防具なし / 防308 225 / 99%
物防Ⅰ / 防384 223 / 99%
物防Ⅱ / 防460 217 / 99%
物防Ⅲ / 防536 211 / 99%
物防Ⅳ / 防612 204 / 99%

 物理防御力UPのスキルをセットすることで、ステータス画面上の防御力の数値は大幅に増加するのだが、ダメージの軽減具合はかなり少ない。スキルのセットなしのときと物理防御力UP Ⅳのときとでは防御力の差に304もの開きがあるが、実際はたったの21しかダメージが下がっていない。つまり数値上どれだけ防御力が上がったとしても、何も装備していないのではほとんど数値に意味はない、ということになるだろうか。

 次に、氷属性の武器で攻撃されていることから、デニムに氷属性ダメージ軽減(氷減と略す)のスキルをセットしてみることにする。この属性軽減スキルは、同じ属性補正と属性軽減を同時にセットしないと意味がないようだ(属性軽減の軽減具合が属性補正のランクに依存するため)。するとダメージは以下のように変化した。

スキルと装備 / 画面上の防御力 予想ダメージ / 命中率
スキルなし、防具なし / 防308 225 / 99%
氷補1、氷減1 / 防308 205 / 99%

 防御力の数値こそ丸腰のときと同じだが、物理防御力UP Ⅳをセットしたときとほぼ同じくらいのダメージになった。氷属性補正が1でこれくらいなのだから、ランクが高まればもっと大幅に減らすことができそうだ。属性武器に対してはそれと同じ属性の軽減スキルが有効である…当たり前といえば当たり前だが、効果の有無を確認できてよかった。そして次は、店売り最強防具のダマスカスヘルム(DHと略す)とダマスカスメイル(DMと略す)を装備しつつ、さらに物理防御力UPのスキルをセットするとどうなるのか、調べてみる。

スキルと装備 / 画面上の防御力 予想ダメージ / 命中率
スキルなし、防具なし / 防308 225 / 99%
スキルなし、DH、DM / 防368 157 / 97%
物防Ⅰ、DH、DM / 防445 155 / 97%
物防Ⅱ、DH、DM / 防522 150 / 97%
物防Ⅲ、DH、DM / 防599 145 / 97%
物防Ⅳ、DH、DM / 防677 140 / 97%

 物理防御力UPのスキルがなくても、防具を装備したことで大幅にダメージが減った。それはいいのだが、むしろ問題なのは、物理防御力UPのスキルをセットしていても、それほど大きな効果が出ていないことだ。物理防御力UPのスキルのみで測定してみたときと同じように、物理防御力UPをセットすることでステータス画面上の防御力の数値は増加するものの、やはり実際は見た目の数値ほど極端に結果が変わることはない。「ステータス画面上の数値を額面通り受け取ってはいけない」ということは言えるかも。

スキルと装備 / 画面上の防御力 予想ダメージ / 命中率
物防Ⅳ、DH、DM / 防677 140 / 97%
人3、DH、DM / 防380 ※7 127 / 97%
氷補1、氷減1、DH、DM / 防368 141 / 97%
物防Ⅳ、人3、氷補1、氷減1、DH、DM / 防701 ※8 109 / 97%

 ふと気になって、攻撃面で意外な影響力を見せた人体学(ランク3)のスキルを、デニムにセットして測定してみた(※7)。するとどうだろう、物理防御力UP Ⅳをセットしたときよりも、ダメージが減っているではないか!ステータス画面上の防御力は実に297も差があるにもかかわらず、だ。

 ということは…と、物理防御力UP Ⅳ、人体学、氷属性ダメージ軽減(&氷属性補正)、ダマスカス防具でガチガチにかためてみたところ(※8)、最終的にはオズマからのダメージを109まで下げることができた。攻撃側にそこそこの効果を出していた種族学だが、防御側にも侮れない効果を及ぼすようだ。対応する種族限定ではあるが、その効果は物理防御力UPよりも大きいらしい。メインストーリーでは圧倒的に人間の敵と戦う機会が多いので、序盤から人体学をセットしておけばかなり有利になりそう。逆に、サイドストーリーやDLCのイベントで足を運ぶ海賊の墓場や死者の宮殿ではスケルトンやゴーストが多いので、死霊学をセットしておくと攻撃と防御、どちらも有利になるというわけか。

 測定結果を見て思うことは、物理攻撃力UP ⅠとかⅡの、それほど効果が高くないものでスキル枠を潰すくらいならば、いっそ種族学スキルを1個でも入れ、序盤の内からなるべく早くランクを上げた方がいいのではないか、ということ。前線でガンガン攻撃したり盾になるユニットは、種族学スキルを重視した方がいい戦いができそうだ。

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