第3次と俺

手持ちのスパロボ

1.原点を求めて

 いきなりこう言ってしまってはナンだが、僕は初め、このスーパーロボット大戦コンプリートボックス(以下、スパロボCB)の第3次というのはあまり好きではなかった。理由としては、戦闘開始前の長いロード時間、全体的にどこか気の抜けた音楽(セガサターンの音質との差が…四天王のテーマは嫌いじゃないが)、なによりSFC版とは違う戦闘バランス!……初めは、絶望した。「こんなの俺の知る第3次じゃない!」みたいな。

 けれど、発売から10年以上の月日が経ち、「最近のスパロボってどうなん?」的な、おかしな臭いがプンプンと立ち込める中、改めてスパロボCBの第3次をプレイしてみると、かつて自分が大好きだったスーパーロボット大戦の姿を、そこに見ることができた。今時のシステムに比べれば、そりゃ色々と問題はある。あーしてほしい、こーしてほしいという願望も、あるにはある。しかし、それであってもこのゲームには不思議な魅力があることに、今更ながら気付いた。

 昔は気付かなかったスパロボCBの第3次の面白さ。それを、「攻略サイト」という形でもって、伝えることはできないか、もう一度確認してもらうことはできないかと思った。時間の都合もあって不十分なところもあるが、あとは閲覧者諸賢のご叱正を持つのみである。

2.スパロボCBにおける第3次の戦闘バランスについて

 スパロボCBにおける第3次の戦闘バランスについては、ネット上では「武器攻撃力がSFC版と同じなのにダメージ計算が変更されているのでバランスが悪い」という意見が多く見られる。…事実として、自分自身も以前(特にゲーム発売直後)はそういう印象を強く受けたので、このような意見がいまだ根強いというのは、理解できる。しかし、今でもそういう感触や印象を持っている人にこそ、「もう一度素直な気持ちでスパロボCBを遊んでみては?」と勧めたい。

 そもそもSFC版第3次が完成度の高いゲームだったということから、リメイクされたCB版に違和感を覚えるという人が多いのは、ある意味リメイク作品の宿命であるし、仕方のないことだ。しかしその感覚だけでこのCB版の第3次を結論づけてしまうというのは少しもったいないことだと思う。CB版は先に発売されたスパロボFの戦闘システムとダメージ計算式を使用しているが、そのシステムに合わせたCB版なりの数値の調整というのも、パッと見た目には分かりにくいが、同時におこなわれている。
 今でも「CB版の第3次は戦闘バランスが悪い」と思い込んでいる人は、騙されたと思ってぜひ改めて遊んでみてほしい。余計な先入観や雑念を捨て、素直に向きあって最後まで遊んでみれば、「SFC版を土台に戦闘バランスをうまく調整しているんだな」と、CB版も納得してもらえるだろう。

 ちなみに同じくスパロボCBに収録されている第2次については、ストーリーが短く、参戦作品の少なさゆえに各ユニットの特徴にかなりメリハリが出ていて、こちらも面白い。最終マップでも2回行動をする敵が出てこないなど、難易度は第3次に比べて低いため、ノーリセットプレイに挑戦してみるのにちょうどいい。第2次はぜひノーリセットプレイで遊んでみてもらいたい作品だ。
 第2次のポイントはスーパーロボット系の攻撃力と装甲。リアル系ユニットの攻撃力があまり高くないので、いかにマジンガーとゲッターを使いこなすかが、大きなテーマになっている。経過ターン数によるストーリー分岐もないので(特定のマップを制限ターン内にクリアせよというのはあるが)、じっくりとプレイできるのも良い点だ。

 普段はこちらの攻撃が当たらなければついついリセットしてしまいがちなスパロボだが、ここはひとつ、何があってもグッとこらえてノーリセットプレイに挑んでみてほしい。クリアしたときの達成感は半端ないぞ。

3.単品版第3次について

単品版第3次

 スパロボCBをバラ売りした商品。発売当初は完全にスルーしていたのだが、コンテンツを制作するにあたって、中古で買ってきた(600円)。単品、ということだけあり、スパロボCBに収録されているCGデモムービーやなんかは削除されており、すぐに第3次のタイトル画面に移る。

 最大の特徴は敵を倒したときに貰える資金が1.5倍になっていること。これはデカい、デカすぎる。例えばラフレシアを倒したときは、CB版でなら30000、幸運をかけて60000だが、単品版では通常で45000、幸運をかければ90000になるのだからたまらない。単品で再販するにあたって、初心者に配慮したのだろうか?

 ちなみに戦闘シーンへの切り替え時にかかるロード時間などは、特に変わっていないようである。どうせなら、戦闘カット機能をつけるとかしてくれればよかったのに…。また、CB版と単品版でセーブデータの互換性はない。メモリーカード管理画面でのセーブデータアイコンも、別物扱いになっている。
 とにかく、CB版でやるよりは資金がたくさん手に入ってバリバリ改造できるので、その分、難易度はやさしくなっていると思う。気軽にゲームを楽しみたい、という人にはちょうどいいのでは。

4.アーカイブス版について

 2011年1月26日、PSストアにて単品版の第2次、第3次、EXが配信された。PS3やPSPでのプレイが可能。ゲーム自体をフルインストールするため、各場面でのロード時間が大幅に短縮された。詳しくはスパロボ実機速度計測のページを参照。

5.コンプリートボックスの攻略本

手持ちの攻略本

 第3次関連の攻略本は、SFC版とCB版の攻略本をあわせて4冊持っている(どれもブックオフで500円くらいで購入した。また『一生楽しむ本』は攻略本というよりはファンブックの性質が強い)。CB関連の本は、いずれも価格が1000円以上するのだが、どれもデキはいまいち。とにかく間違いが多くてウンザリする。中には「本当にゲームをプレイしたのか?」と疑問を抱くような間違いもチラホラ。持っていない人のために、少しばかり攻略本の感想でも書いておこうと思う。

 まずソフトバンクの『スーパーロボット大戦コンプリートボックス パーフェクトガイド』は、結構分厚い本。ユニットデータとパイロットデータひとつひとつにコメントが書かれていたり、コラムやワンポイントアドバイスが充実しているのが特徴。デザインがやや窮屈でけばけばしいかな、という気もするが、詳細なデータがほしいという人にはピッタリかもしれない。他にも、CBのアペンドディスクで遊べる「バーチャルスタジアム」のデータを網羅しているところはGOOD。精度に関しては、間違いがないわけではないが、電撃に比べればまだ少ない方だろう。
 個人的に不可解なのが、パイロット一覧は敵味方混合で掲載されているのに、ユニット一覧は敵と味方で分別されて掲載されているところ。なんか統一性がなくないか?あとなぜか「ディカステス」のことを「ディカスティス」と何度もしつこく書いているのも謎のひとつだ。最初はただの書き間違えかと思いきや、ユニットデータ一覧にまでディカスティスと書かれており、どうやらこの本のライターの中ではディカスティスで統一されていたらしい。もしかしたら今でもディカスティスと思い込んでいるやもしれない。それと、シナリオ「静寂の中で」以降の分岐条件が、「クワトロが仲間にいる/クワトロが仲間にいない」で説明されているのはダメ。妙なところは細かいくせに、シナリオ上重要なところでなんでこんな嘘を書くのか、よく分からない。ゲームをまともにプレイしていればこんな嘘は書けないはずなのだが…?

 次にメディアワークスから発売された電撃PSの『スーパーロボット大戦コンプリートボックス 完全攻略ガイド』は、パーフェクトガイドのようにユニットデータやパイロットデータにコメントはないものの、本文のデザインはスッキリとしていて読みやすい印象を受ける。
 逆にダメなところはユニット・パイロットデータで、NPCが味方に分類されているため、若干分かりづらい部分がある点。例えば第3次であればシャアやマシュマーが味方一覧に掲載されていたり、ギャプランがモビルスーツ形態は味方一覧に、モビルアーマー形態は敵一覧にわけられて掲載されてしまっているなど、おかしなことになっている。正式に仲間になるもの以外は、敵側の一覧に加えた方が良かったのでは?と思う。シャア専用ゲルググが味方側に掲載されているとか、おかしいでしょ。それとディカステスのユニット情報が掲載されていない。本の帯には「120%完全制覇」って書いてあるのに…全然制覇してないじゃん。
 それ以外にもこの本は間違いがかなり多い!特にマップ攻略ページの敵ユニット情報の間違いの数が尋常ではない。残念ながら「間違いがない」ということが珍しいくらい間違いが多いのだ。電撃ってこの程度の本しか作れないのか?と、思ってしまうほど精度の低い攻略本で、これはちょっと購入を勧められないなぁ。

 ちなみにこの2冊を読み比べてみると、面白いことに2冊とも同じ部分で同じ間違いをしていることに気付く(2回行動のレベルなど)。恐らく、バンプレストの渡した資料が間違っていたと思われるが、酷い話だ。しかもひとつやふたつではないので、始末が悪い。もっとも、同じ部分であるかどうかに関わらず、2冊ともかなり間違いが多いので、なんにせよ信じるのはほどほどにしておいた方がいいだろう。

 最後になるが『スーパーロボット大戦コンプリートボックスを一生楽しむ本』については、「こんなものは買うな!」と、まずは一言忠告しておきたい。ペラペラでボリュームがないくせに1200円という価格も驚きだが、あまりにもくだらないスパロボクイズやカードゲームの説明、そしてFでも見た用語解説など、とにかく中身がない。と言っても、これは以前からそうではあったのだけど、それでもこの一生本シリーズに救いようがあったのは、スタッフインタビューが掲載されているところだった。しかし今回はそれすらない。変なオヤジ3人組の思い出話が代わりに掲載されているだけで、ゲームを深く知ることにはこれっぽっちも貢献してない。なぜこれまで恒例の企画を実現できなかったのか…。

 僕はこの本を古本で、安値で購入したからまだ許せるが、定価でこんな何の役にも立たない本を買ってしまった人は、カミーユよろしく精神が崩壊してしまってもおかしくないだろう。それほどまでに何の意味もない本だ。本当に買う必要はないぞ。名前に騙されてホイホイと買ってしまわぬよう気をつけよう。

TOP