威霊イデ

イデ【出身地:惑星ソロ】

 富野由悠季原作・総監督のアニメ『伝説巨神イデオン』に登場する、巨大ロボット・イデオンに内在する「知的生命体の意思の集合体」。正確にははっきりとした姿を持っているわけではなく、劇中では声でのみ登場する。今回は主人公のユウキ・コスモをその象徴として採用した。

 第六文明人が作り上げた意思の集合体イデ。イデは、善き心に反応し、その力を発現させるという。しかし生み親である第六文明人は、イデに悪しき心を感知され、イデによって滅ぼされてしまった。遥かなる時を経て、地球人は惑星ソロに眠っていた巨大ロボットイデオンと、宇宙船ソロシップを発掘する。しかしその直後、異星人バッフ・クランと遭遇、些細な誤解から戦争に突入してしまう。そしてこの出来事が、イデを目覚めさせてしまった。

 ユウキ・コスモら少年たちはイデオンを起動させ抗戦、ソロシップのデスドライブ(亜空間航行)で辛くも惑星ソロを脱出した。しかし異星人バッフ・クランの地球の伝説では、ロゴダウの巨神(イデオンのこと)の無限力が地球を滅ぼすという言い伝えがあり、バッフ・クランはイデオンを捕らえるべく執拗にソロシップを追撃、ついには全宇宙を巻き込む戦争へと発展してゆく。両者は何度か和解の機会を得ながらも最終戦争に突入、人類に見切りをつけたイデは憎しみの心を根絶やしにすべくその力を発動、宇宙の知的生命体すべてを消滅させてしまう。

 なぜイデは人類同士に殺し合いをさせたのか…それは、現世代の生命体には、ある点が欠けていたからである。その点とは、己の業を乗り越えられないこと。欲望、憎しみといったものを引きずった生命体が源では、イデは善き力を発現できない。しかし知的生命体がいなければイデは存在できない。となれば、現世代の生命体を死滅させ、自らの力の源となる善き心を持つ次の世代の生命体を誕生させようと、イデは画策したのである。
 劇場版『発動編』のラストシーン、イデによって因果地平の彼方に吹き飛んでしまった人類の魂は、すべてのわだかまりをなくし、新しい原始の地球へと飛び立っていった。